桜門建築会は、日本大学建築系4学部5学科の卒業生による同窓会組織です。
日本大学の建築系学科卒業生を会員とし、卒業生の親睦と研鑚をはかり、
学生の支援や学内外の会員の社会的発展に寄与することを目的とし活動しております。
ごあいさつ Greeting
次なる100年に向けて=開かれ活性化する桜門建築会へ=
桜門建築会会長 今村 雅樹
歴史と伝統ある桜門建築会(以下:桜建会)は100年を経て、一昨年には「100周年記念式典」が執り行われ、若い人達にも参加していただいたコンテストにより桜建会の「新しいロゴマーク」も決定いたしました。
此の度、次なる100年の歴史を創造する新フェーズにあたり、第12代会長の任を命ぜられることになり身を引き締め取り組んでいく所存です。今までの歴史と伝統の継承に加えて、私なりにアーキテクト・マインドを持ち新たな活動で更なる活性化を目指し、いくつかの企画を実らせるようにスタートいたします。まずは、理工・生産工・工・短大に加えて、芸術学部やまちづくり工学科などの建築学を修めた新しい有志達にも参加していただき、さらに若いクリエイティブな会員達を応援すべく「U45(45才以下)展」とその若き建築人のための「佐野利器賞」※の設立を計画しています。
社会を見回すとデジタル化・AI化などの情報化が進むと同時に、これまでの20世紀型体制の上になりたっていたシステムや組織のあり方など予期せぬ事で歯車が狂ってしまうような事象も散見されています。加えて、日本に限らず世界の至る所で自然災害が多発し、争い事も長引き、すでに21世紀に入り四半世紀も過ぎようとしているにもかかわらず、社会システムの成功像が模索の段階にあり、変革を迫られている時代であると認識しております。
このような中、私たち桜建会のあり方も今後いかにあるべきか。先人たちが創り上げた歴史と伝統に胡座をかくことなく、果敢に新しい時代の流れを読み解き、その中で更に活性化する組織を目指して卒業生と在学生が交流する場となるように考えたいと思っています。建築の概念も多様な広がりを見せ、建築士の仕事範囲や社会的な責任負担も増えてきています。我々や先輩方が学んだ時代の「用・強・美」から始まる建築は、依然として重要なベースとなってはいるものの、情報化が進んだ現代そしてさらに多様化複雑化していく社会の中で、「建築」の役割や文化としてのあり方も、今までとはまた違う価値観が出現しています。
私自身は第3代会長の伊藤喜三郎先生に師事した古いタイプの建築家かもしれませんが、2000年から理工建築で設計系研究室を持ち教授指導した四半世紀の間に、学生・院生たちが考える建築(ケンチク)像・建築家(ケンチクカ)像が徐々に変容してきたのを目の当たりにしてきました。それには以下のような状況の変化があります。
・一級建築士の受験資格も大学卒業後すぐに可能となり、大学院生時代に取得する人も出てきました。ある意味、大学院の価値も「研究と知識」の深掘りと集積に加えて「資格取得」という新たな目的が加わったのかもしれません。
・我々が学生時代から語られていた「建築学科6年制」論が、大学院(修士)も含めるとすでに現実的にそのようになっていますが、その実態は多くの大学院生が奨学金をもらいながら院生生活を送り、その後の社会人での返済を考えて就職先を選ぶという、実利的な状況も垣間見られます。
・かつてイタリアの建築学科卒の学生が、ファッションなど多様な職種で活躍してきたように、現代の日本でも建築以外の「多様な職種への就職」も増えており、また受け入れる社会側も働き方改革により「建築」との付き合い方が大きく変化しています
・独立した若い建築家たちの仕事には、小さな不動産開発から作品づくりへ繋げたり、まちづくりや再生・復興の中でリノベーションやコンバージョンなどを主体に活動したりと、高度経済成長時代と違う創造活動の新しい出発点やプログラムが出現し、建築を取り巻く活動の幅が広がっています。
このような時代の若者たちの居場所が、ここ桜門建築会には必要だと感じています。日大建築の礎を築かれた佐野利器先生が建築・構造から都市復興計画まで幅広くご活躍されたように、新しい時代・社会の中で日大建築人が活気付き、「建築(ケンチク)への情熱」を持つ人を支援する組織となるように、我々キャリア年代も新しい建築像を共有し、桜門建築会を発展させたいと考えています。
※第1回「U45・佐野利器賞」は、今年8月上旬ごろに「桜建会HP(https://www.okenkai.jp)」上にて応募要項の案内をいたします。応募条件は45才以下の桜建会会員となっています、まだ会員でない方は応募時に正会員になって下さい。
日大卒若手建築家・構造家・各種クリエイターの方々の応募お待ちします。
今村 雅樹 Imamura Masaki
1953年 長崎市生まれ。
’77年日本大学理工学部建築学科卒業。
’79年同大学院(宮川研)修了。
’89年~今村雅樹アーキテクツ。
’00~’23日大理工建築学科 教授・特任教授。
主な受賞:’91,92東京建築賞、’99 JIA新人賞、’01,04日本建築学会作品選奨、’00,05日本建築士会連合会賞、’10 BELCA賞、’19日本建築学会教育賞、照明デザイン賞等
主な作品:太田市総合ふれあいセンター、熊本県西合市町保健福祉センター、太田市沢野中央小学校、上越石田眼科、熊本県医師会館等
主著に「パブリック空間の本(彰国社)」等